ココアの甘さ

恵介に別れを告げてからもう2週間。

何度か病院に来ていたみたいだけど彼にも仕事がある。
私が避けていれば会わずに済んだ。

先週、お見合いが今日に決まったと伝えられ、私は母に連れられて都心のホテルで待っていた。

「美華、本当に写真見てないの？」
「見てないよ、写真写りで見た目なんて変わるじゃない。」
「そうかしら。」

はぁ、とあからさまにため息をつく母の隣で自分の着ている服に目をやる。

着物はキツいな、何と言っても動きにくい。

昔から茶髪は似合わないだろうと言われてきたザ・日本人の顔立ちをした私は一度も染めず黒髪のままだ。

きっとその分着物は似合う部類に入るのだろうけれど、動きにくくて何か失敗を起こさないか不安になる。