「美華じゃないのか?」
「私は、吉永さんの担当は今日までです。」
そして、と続ける。
「あなたと会うのも、これで最後。
今までありがとう。
あなたに名前しか教えなかったのも、職業を言わなかったのも。
全部、医者の榊原美華を捨てたかったからよ。
それであなたを不快にさせたならごめんなさい。
あなたと話しているのはすごく楽しかったし、悲しい気持ちも小さくできた。
ありがとう。」
最後は、笑顔で。
「美華、俺は。」
「すみません、仕事がまだあるのでこれで失礼します。
また担当の立川から説明があると思うので。」
靴の音を鳴らして恵介の個室のドアに手を伸ばす。
「さよなら。」
「美華!」
術後でまともに動けない彼に言い逃げなんて、最低ね。
分かっているけれど、ごめんなさい。
さよなら、私の初恋。
「私は、吉永さんの担当は今日までです。」
そして、と続ける。
「あなたと会うのも、これで最後。
今までありがとう。
あなたに名前しか教えなかったのも、職業を言わなかったのも。
全部、医者の榊原美華を捨てたかったからよ。
それであなたを不快にさせたならごめんなさい。
あなたと話しているのはすごく楽しかったし、悲しい気持ちも小さくできた。
ありがとう。」
最後は、笑顔で。
「美華、俺は。」
「すみません、仕事がまだあるのでこれで失礼します。
また担当の立川から説明があると思うので。」
靴の音を鳴らして恵介の個室のドアに手を伸ばす。
「さよなら。」
「美華!」
術後でまともに動けない彼に言い逃げなんて、最低ね。
分かっているけれど、ごめんなさい。
さよなら、私の初恋。

