彼の理想を私は全て満たせない。

料理が出来ないからこうして外食を繰り返して、掃除が出来ないから部屋に置いてある大量の本が散らかって。

...それに仕事を辞めるなんて、絶対に出来ない。

それは私の気持ちだけじゃなくて、周りの影響もある。

彼の理想は私とかけ離れていて、それを何度も言われる度に自分が彼に必要とされないことを思い知る。

「美華は?どんな人がいい?」
「私の結婚相手の理想?」

そうね、と考える振りをする。
もちろん答えなんてずっと出ているのに。