ココアの甘さ

けれど医者になってからはその気持ちが弱くなったのかもしれない。

助けたくても、もう間に合わない命。
手の施しようが無く手術もできない命。

どんなに自分が助けたくても、全ての人を救えるわけではなかった。

人の死を自分の目で見てしまうことが怖くなった。

それでも仕事はしなければいけない。
だったらせめて、自分を忘れられる場所を作ろう。

その気持ちで向かったバー。


今思えば、それがダメだったのだ。