医局を出て恵介の病室に向かう。

30歳で仕事もしっかりしてきたからか、この病院の個室を払うお金はあったらしい。

病室の前に立ち、軽く深呼吸をする。
行かなきゃ。そう思ってドアをノックした。

「はい。」
「失礼します。」

横開きのドアを開けて中へ入った。

「体調はいかがですか?」
「大丈夫だよ、ちゃんと鉄分も摂ってるから。」

いつもと変わらない口調で話す恵介を見て心が痛かった。

「疲れからもくるので、体調は気を付けてください。
それで、手術のことなんですが。」