「ねえ、美華。本当に良いの?」
「お見合いのこと?それなら本当に良いの。私は結婚できる自信もないから、拾って下さる方と結婚するの。」

「でも、まだ28歳なんだから...」
「いずれしなきゃいけない時が来るんだからいつ結婚しても同じよ。」

相手も、恵介でないなら誰でも同じ。

「美華が、幸せな結婚をしてくれたらお母さんはそれで良いからね。」
「うん、ありがとう。」

先に私の家に着いた。

「それじゃ、おやすみなさい。」

母を乗せたタクシーが動き出したのを見て私も家に帰る。
部屋に入ってコートを脱ぎ、着替えもメイクを落とすこともないままベッドに倒れこむ。

「お見合い、か。
そろそろお別れかな。」

恵介にお別れを言わなきゃ、と考えているうちに疲れに襲われて瞼を閉じた。