砂時計

今日は、日曜日。気分転換に髪を切ったり、ウィンドーショッピングをしたり、お気に入りのカフェに行ったり、いつもとなんら変わりのない、休日だった。

ただ、一日中、彼への返事に悩んでいた。『イエス』と言って私、悔いはないんやろうか？ 彼に一生を捧げても、悔いはないんやろうか？

応えを出せないまま、夜を迎えた。いつもは待ち遠しかった夜が、今日は来なくてもいいのに……と、初めて思った。

とりあえず、ベッドに潜り込む。眠れそうにないけれど、二十三時が近づくと、瞼が急に重くなった。


「昨日は、ごめん」


その声にハッとして、起き上がる。彼が、申し訳なさそうに唇を噛んだ。謝りたいけれど、なんとなく気まずいときにやる、彼のクセだ。懐かしくて、つい笑ってしまう。

「なんで笑っていられるの？ オレは、酷いことをしようとしたんやで？」

今にも泣き出しそうな表情を浮かべた彼が言った。

「あなたの命を奪おうとしたんやで？」

……これは、夢やない……。

ああ、彼は、現実世界の住人やない。そう悟った。