体育館は椅子がたくさん並んでいた。ざっと見て300席くらいあるだろう。


ドンッ!


誰かにぶつかってしまった。急いで謝ろうと思ったが、相手から先に謝ってきた。


「ごめんね。大丈夫?立てる?」


そう言って手を差し伸べてくれた。


「大丈夫。ありがとう。優しいんだね。」


私は初めて男の人に優しくしてもらったので、とても嬉しかった。


「僕は流星。矢野流星。よろしくね。」


彼は礼儀正しく挨拶をしてくれた。


「私は桃香。井上桃香。さっきはぶつかってごめんなさい。それと、こちらこそよろしくね。」


この時私はこの人と結婚をするなんて夢にも思ってませんでした。