「桃香ー!遅刻するわよ!起きてらっしゃい!」


「もう起きてるよ!お母さん!」


お母さんは入学式の日から私が寝坊すると思ってるのだろうか。


私は今日という今日を楽しみに待っていたというのに!


さてと準備完了!


「今降りるからお母さんご飯お願い!」


私の自室は2階なので、大声を出さないとお母さんに聞こえないのはやっかいだ。


バタバタバタバタバタ!


「お母さんオハヨー!ってもう洋服着替えてる!気が早いね!」


「そりゃそうよ。桃香の入学式なんだから、気が早くなるわよ。」


「そんなものかな?」


「そうよ。子供が出来れば桃香もきっと分かるわ。」


ガチャン!


「遅れてすまない!それと、桃香・彩葉おはよう。」


10分も遅れてお父さんがやってきた。


「おはよう!お父さん。」


と私は挨拶したが、お母さんはしなかった。


「どうしてお父さんに挨拶しないの?もしかして喧嘩したの?」


私は気になってお母さんに聞いてみた。


「娘の晴れ姿に遅れて起きてくるなんて、父親としてどうかと思うわ。」


意外とお父さんは私のことには無頓着なので、私はあまり気にしないが、お母さんは気にするらしい。


「すまない彩葉。昨日は遅くまで仕事をしていたのですかっかり疲れて寝てしまったんだ。許してくれ。」


お父さんは警察官なので、たまに家に帰るのが遅くなってしまう。


「分かったわ。許してあげる代わりに頬にキスして!」


また始まった。うちの家族はいつもこうラブラブなのだ。40過ぎにもなってキスなんて私はどうかと思うのだけれど…。


「お父さん、お母さん遅刻しちゃうよ!急いで!」


今の時刻は7時半。受付は8時までだというのに、間に合うのだろうか。