「お客さん、着きましたよ」



運転手の声で我に返り、急いで支払いを済ませ院内に駆け込んだ。



受付で光輝の名前を告げると、今は手術中だと教えられた。



エレベーターに飛び乗り、手術室へと無我夢中で走った。



手術中のランプが赤々と灯る手術室の扉の前には光輝の両親とお母さんの3人が寄り添い待機していた。



「お母さん、光輝ママ!光輝は?」



三人のもとに駆け寄ると、光輝ママが泣きながら抱きついてきた。



「奈美ちゃん、来てくれたのね。光輝ね、風邪で病院に行った帰りに車に…。背中の怪我がひどいんですって。運ばれてきた時には意識がなかったんだって……」




「背中!?光輝はバスケ部なんだよ!しかも意識ないなんて…」




再び蘇る恐怖に、足がガタガタと震える。




私がカフェでくだらない意地を張っている間に光輝がそんな目に遭っていたなんて……。




「とにかく今は命だけでも助かるように祈りましょう」




お母さんに肩を抱かれ光輝ママと手を取り合って、ベンチに腰かけた。