半分のキモチ

卒業式が終わり静かな教室に鼻をすする音だけが聞こえる。
みんな真っ赤な目をして俯き教壇に居る正也を見ていない。


「会田」


正也が一人一人名前を呼び卒業証書を手渡す。
その声が少し震えていることをみんな分かっている。
分かってるから、誰も正也を真っすぐ見ることが出来ないでいた。


みんなに卒業証書を渡し終えると「えー」と正也が鼻をすする。


「まぁ、卒業おめでとう」


月並みな言葉に誰かが笑った。


「笑ってんなよ……えーまー。社会に出て色々と理不尽なことは沢山ある。自分が悪くないのに謝らなくちゃいけないことや納得いかないこと……そんな時、一人じゃどうしようもなくなったら連絡して来い。卒業したとしても……お前らはみんな俺の可愛い生徒だ」


このクラスに居るみんなが正也の言葉が上辺だけじゃないのを知ってる。
正也は本当にそうやって、私達と接してくれていた。


10も離れた子供の話を真剣に聞いて、笑って怒って、一緒に悩んでくれて……


「まぁ、そう言うわけだ。最後にもう一度、卒業……おめでとう」


正也はそう言うと教壇から降り頭を下げた。