母親は、先に生まれてきた子をラズリと名付け、後から生まれた子をリベアと名付けた。

それから双子はスクスク育ち、もう10歳の年を迎えようとしていた。

「ねぇ!リベア、明日は、二分の一成人式だね!」

まだ少し幼い顔でラズリが、妹のリベアに笑いかける。

「そうですね、お姉さま。」

子供らしくない、丁寧な話し方のリベア。




私達は、昔から双子なのに、性格は全然違った。

妹のリベアは、城の者らしくいつでも美しく振る舞い、その1つ1つの
動きは、年齢をいくらかごまかしても分からないほど。


そして、リベアとは逆に元気な姉、ラズリは、明るい性格で
誰とでも仲良くなれる、フレンドリーな性格だった。


「姫様のお通りー!!」

この城の中でも最も信頼がある、執事のじいやが大きな声で叫ぶと、
ザワザワとしていたのが、急にシーンとなった。

二人は緊張をまぎらわすために、ヒソヒソ声で話していた。

「も、もうすぐだね!リベア!」

「え、えぇ。お姉さま、緊張しますわ。」

二人は、まるで結婚式会場のようにセッティングされている、お城の広間に
足を踏み入れた。

赤いじゅうたんを、一歩一歩踏みながら段の上に上がると
他のイスとケタ違いに大きい2つのイスにそれぞれ腰掛けようとした瞬間…!

ガタッ!ドスンッと、どんくさいラズリが段の上から落ちてしまった。


静まり返った広間に、ラズリが落ちてしまった音だけが響いてしまう。

「ラッラズリお姉さまっ?!」

あわてて妹のリベアが、ラズリを助け起こす。

「ありがと!あと、すみませんでした!!どうぞ、続けて下さい!」

ラズリがそう言うと、彼女の笑顔に負け、笑うどころではなくなった
人々は、楽しいパーティーをおおいに楽しもうと、

また、楽しそうにおしゃべりをしたり、食べたり、飲んだりし始めた。



でもこの時、妹のリベア以外誰も気づいてなかった...。

ラズリが下を向いて、涙をこらえていた事を。