幼なじみと初恋〜2つの奇跡〜

「おーい。早くしろよー」


現在時刻、AM7:30
下から私の名前を呼ぶのは幼なじみのハル。毎朝こうして迎えに来てくれるのだ。
ハルは知らない。
私がハルに対して恋心を抱いていることを。
たぶん私は言わないと思う。これから先も、ずっと。


「もうちょっと待ってー‼︎」


「さくー、遅いぞ」


小さい子を叱るような口調でハルが言う。
ハルに子ども扱いされるのは嫌。
でも、そうじゃなきゃハルじゃない。
矛盾しすぎて、ときどき意味がわからなくなる。


「もうちょっと早くしろよな」


「もー。わかってるってば」


「そう怒んなって」


ぷいっと顔をそむけた。
こんな言い争いは小さい頃からしょっちゅうしてた。だからこれも一種の友情表現ってやつ?
少なくとも私は、“愛情” だと思いたい。
ただ、そう思えるわけもなく一定の距離が保たれてきた。