体育祭予行日の放課後、グラウンドの隅でラインを引きながら、

あたしは、数日前の出来事を思い出していた。



『あ、あのね、伊織…さっきのはその…

照れてとっさに言っちゃった…みたいな…』


あの後、伊織はうつむいて言った。


『…いいよ。俺が悪かった、から…』


…忘れて。


伊織の低い声からは、何の感情も読みとれなかった。


けど、たぶん…拒絶、されたんだろう。

あれから、通学も別々になっている。