「向坂さん。どうしたの?」 先輩が、優しい顔で振り向く。 今日もやっぱりかっこいい… 「あの、ご卒業おめでとうこざいます! それで、ですね…」 ここからが正念場。 何度も何度も練習したんだ!! 「好きですっ!もしよかったら、付き合ってくださいっ!!」 何度も練習したセリフをなんとか言い切って、頭を下げる。 …返事遅くない? そんな疑問がよぎったとき、 「…向坂さん、ごめん」 先輩の、困った声がした。