これは、まだ入院したての私と、優也のお話。

小さい時の私達は、まだ死ぬ恐さを知らなかった。


「お母さーん!」

私はお母さんを見つけ、すぐに駆けつけた。

「もうっ!病院では走ってはいけないって何回も言ったでしょ!」

「はーい!」

「ほらっ!看護師さんが待ってるわよ」

「うん」

今から検査がある。
私は検査が大嫌いだ。
だって血を抜いたりするから痛い。


「はぁーい、沙耶ちゃんいきますよー」

チクッ!

「よく我慢したね。偉いえらい」

「ありがとうございます」

「沙耶ちゃんには、これをあげよう!」

お医者さんがくれたのは可愛い柄の折り紙だった。

「わぁー!」

いつも血を抜いた後に何かしらくれるんだー!