「山口くん!」


「...」


「ごめん!待たせて。」


「別に待ってねーし。」



冷たい...


思わず涙腺が緩む。


ダメ...



「今日無視したでしょー?結構傷着いたんだけどー」


「...」


「また無視するー!」


「...」



山口くんは黙ったまま。


それでも話を進めた。



「昨日はごめんね。とばすつもりは無かったの。今起こっていることに脳が追いつかなくて...」


「別に気にしてないから。」


「私ね、イギリスに行くことになったの。」


「は?!」


「昨日の手紙はその事について。明日退学、することにしたの。今のままだったら嫌だから、ちゃんと話そうと思って...」


「明日とか急すぎだろ...」


「...山口くん、今までほんとにありがと。可愛くない私でごめんね。それと...」


「ん?」


「...やっぱ何でもないっ」


「気になる!言って。」


「やーだ。その代わりこれ、あげる。」


「これ...」


「flower smack。山口くんっぽいピーチの香り!」


「なんでオレがピーチなんだよ!」


「ないしょー!」


「はぁ?」


「ふふふ。じゃあ...ね。山口くん、バイバイっ」


「杉浦!待てよ!」



ごめんね、山口くん。


振り向くことなんてできない。


日本にいたいって思っちゃうから。


帰りたくないって思っちゃうから...



元気でね...山口くん。