『あ!紗椰ちゃん!もう〜、心配したんだよ??』
『…ごめん。帰ろっか。』
『…?紗椰ちゃん?』
『…ん?』
『…顔、赤いよ?』
自分の顔に触ると、ほんのり熱くて。
『…そっかな。』
『うん。大丈夫?』
『うん。大丈夫。ヒロくんは大丈夫なの?』
私が自分からヒロくんの話を出すのなんて初めてで。
世羅はちょっと驚いてた。
『あ、えと、うん!!あのね、』
『うん。』
良かった。
世羅から話題をそらせた。
世羅はかんが鋭くて、私が気になる人ができたらすぐに分かっちゃうから。
なぜか、
何も知らないあの人のことを、
世羅に渡したくないと思った。

