「かわいそうに」

「天国では…
ちゃんとママと出会うのよ」


僕の周りの人たちは
僕を想って泣いている。

“かわいそう?”
“天国?”

あぁ、僕…
本当に死んでしまったんだ。


「つらかったよねぇ…」

「今度生まれ変わったら
絶対にウチにおいでよ…?」

「こんなに可愛い猫ちゃんなのにねぇ」


僕は“野良猫”だった。

ママもお家もなくて
ごはんを探していたら

知らない“人間”に
僕を新しい家に連れて行ってくれた
おいしいご飯もくれたんだ

だけど
僕は虐待されたんだと思う。

痛かったよ。
つらかったよ。
苦しくて、悲しかったよ。

だけど…
もう僕はこの世にいないんだ。

僕が死んだことは
あっという間に
“人間の世界”に広まったんだって。


フワッ


「……?」


突然浮き上がった
僕の体


「一緒に、お空の向こう
行こう?」

「君は…?」


僕の手を繋いでいるのは
小さな小鳥さんだった。