「あちぃな・・・」

渡部がたれてくる汗を手の甲でぬぐいながら言った。
いま駅前にいるのは、崎野をのぞく6人。

「ごめん、遅れた」
向こうのほうから崎野が駆けてくる。

「何やってんだよ、崎野」
「わりぃ。寝坊しちまって」

はは、と笑って頭をかく。

「昨日早く寝なかったのか?」
ケイタが崎野をのぞきこむ。
崎野の目の下にはうっすらクマができていた。

「ああ、昨日夏期講習に行ったときテストしてさ。点数やばかったのが親にバレてよく2時まで勉強付けさ」

ため息をつきながら崎野が言った。

「大変だな・・・・」
「それよか、早く行こうぜ。電車が出ちまう」

ケイタはヘトヘトになっている崎野の背中をおしながら駆け出した。