秘密基地。
1年8組と書かれた古い教室に8人は集まっていた。

「テーマだけどさ」
上野がぽつりと言った。

「戦争なんてどうかな」
「戦争?」
「きのう、テレビでやってたろ?見てないか?」

上野が言うと、ケイタとさとこと川嶋が「見た」と答えた。

「あれは、悲惨だったぜ」
「戦争はなんでも悲惨さ」
「罪もない人々を殺すなんて」

渡部がドン、と机をたたいた。

「考えられないよな。しかも、戦争を始めるのはいつも大人なんだ。子供たちは命令で戦争に行かされる」

「こどもに罪はないのにさ、生まれたばかりの赤ん坊だって死んじゃうんだ。何のために生まれてきたんだよ。幸せになるためじゃないのかい?」

「さとこの言うとおりだ。どうして国を守るために人が死ななきゃなんねえんだ。もとから戦争なんてしなきゃいいことじゃねえかよ」
崎野が腹ただしげに言う。

ケイタは、昨日見た戦争のようすを思い出していた。
たくさんの少年が、死んでいた。
最後は見てられなくなった。


「間宮、どうした?さっきから黙りこくって」
上野が顔を覗き込んでくる。

「いや、同じ人間なのにどうしてかなと思ってさ」
ケイタが言うと、みんながケイタに注目した。