「こういうスクープ、ぼくみんなに見せたくなっちゃうんですよ」
「それは困る!!!」

思わず大声を出してしまい、ほかの生徒の目線に気づき崎野を木の陰につれていく。

「おれのプライドが傷つく。一生のおねがいだ」
「一生のおねがいなんて、先生がいうことばじゃないですよ」

そう言って、腕を組んでうーんとうなると、思いついたように顔をあげた。

「じゃあ、ひとつ約束してください」
「約束?」
「はい、もう意味もなく廊下をのし歩いたり威張ったりするのはやめてください。正直迷惑です」
「なっ・・・」

伊藤の頭に血が上る。
だが、ここは受け入れるのがいちばんだ。

「わかった。約束する」
「絶対ですよ」

そう言ってビデオテープを手渡した。

(これさえあれば、こっちのものだ)
ニヤリと笑う伊藤だったが、それは次の崎野の一言でかき消された。

「あ、言い忘れてましたけど、そのテープ一応ほかのテープにも入れときましたから。それは僕んちにあるんで、忘れないでくださいね」