桃色アルバム

「きっと、取り付かれてしまったんだねえ。どうするよ。これからクモに襲われる毎日が続くけど」
「お願いします、どうにかしてとれないんですか？」


伊藤は半泣きになっている。
なぜこの老婆に助けを求めるのか自分でもわからなかったが、なぜかこの人に言えばなんとかなると思ったのだ。



「そうだねえ。わたしの言うとおりにすれば、取れないこともない」
「何でも聞きます。だから、どうか助けてください」
「仕方がない、助けてあげよう。今から１０分後にあんたのところにひとり、つかいの子供をよこす。その子供についていきな。途中で目隠しさせてもらうよ。なんせ、行く場所は神聖な場所だからね。神様の家みたいなもんさ」
「わかりました。どうか、よろしくおねがいします」



そう言って、電話は切れた。
ほう、とため息をつく。



（これで、クモからおさらばできるぞ）

小さく飛び上がり、いそいそと帰りの準備をし始めた。