「ね、私とさとこでパイ作ったんだ。上野のところに持ってかない?」

ゆりかが思い出したように、紙袋を持ち上げた。

「気が利くじゃねえか。上野も喜ぶんじゃねえの」
「でしょ。愛のプレゼントだよ」
「あんまり調子のるなよ。渡部が泣くぞ」


ニヤリと笑いながら崎野が渡部を見る。



「どういう意味だ、てめぇ」
「うわっ、いてててっ」

「渡部、暴力反対だよっ」
「そうだったのかい?渡部」
「だから、違うって言ってんだろ」



この光景を見ていると、つい笑ってしまう。

―こいつらがいてよかった。


川嶋を見ると、ニッコリ笑い返してきた。