「事件ってほどじゃねえだろ」
「そうそう。これ一通だけだし」

上野とケイタに言われ、崎野はつまらなそうな顔をした。


「ま、気にしないでいいんじゃねえのか」

渡部が前においてあったウーロン茶をいっきに飲み干した。

「じゃあ、レースでもするか」

上野が棚からプレステを取り出してニヤリと笑った。


「一番は俺だ」
「相手になるぜ、渡部」
「じゃあ、次はあたしとゆりかだよ」


わいわいと話しながらケイタはふとさっきの話が頭をよぎった。

―この1通で終わればいいけど・・・・


「おい、おまえは俺と対戦だ」

バン、と背中を川嶋にたたかれ、上の空で「ああ」と言った。