木で少し暗い雰囲気だった視界が、突然広がった。

「うわぁー…」

「よし、ついたぞ」

車は少し大きめの古そうな家の庭に入っていった。
そこには既に引っ越しセンターのトラックが待っていた。

「さ、降りて準備だ」

車から降りて玄関へ向かう

何か出てきそうな不気味な雰囲気をだしつつ、人が大事にしてきた温かみがほんすこしだけど感じられた。

「広いんだね…なかなか」

「まぁね。結構古いらしいから」


するとお母さんが突然お土産用のお菓子を渡してきた。

「お母さん、左隣の家にこれ渡してくるから、あんた右の近所さんにそれ渡してきて。『お世話になります』って」

「う、うん。わかった」

そう言って、お母さんは坂を下って近所さんにあいさつしに行った。

じゃ私は右か…

そう思って庭を出る。


「うわぁ…」


そこには地平線が見えるほどの大きい海とビルや学校や商店街などの街が下に見える。

「あそこ…学校かな」

通う学校を見つけて、ちょっとワクワクしたり、

「あ、お菓子」

思い出して振り返ると
向かおうとしてた場所の入り口に看板が置いてあった。