「ママ~」
そう言って走りながらママらしき女の人に抱きつく女の子。
「はるおいで」
はる…?
わたし…?
ああ、その女の子はわたしなんだ。
そしてその女の人とは私が5歳のときに病気で死んでしまったママなんだ。
またこの夢か。
いつもこの夢を見るのにその女の子が、その女の人が誰かを毎回思い出せない。
ママはとても優しくていつもわたしを笑顔にしてくれた。
いつも一緒でたくさん遊んでくれた。
欲しいものをいつも買ってくれた。
すごくすごく優しくて大好きなママだった。
だけどいつもママの顔は見えない。
白いモヤモヤっとした何かで顔が覆われている。
だからママの顔は見えない。
いや、思い出せない。