放課後。

いつものように練習を終え、帰る準備をする。

「結衣ちゃん!」

未菜ちゃんが私を呼んだ。

「ん?」

私が手を止めずに聞き返すと、

「私、今日は友達と帰るね、バイバイ!」

「え?あ、うん。バイバイ!」

そのとき、ふと振り返ると、嬉しそうに笑う未菜ちゃんが見えた。

急にむなしくなる。

遊びたいな。

高校生らしくしてみたい。

「さようなら、お疲れ様でした。」

学校を出ても、むなしさはおさまらなかった。

頭から未菜ちゃんの笑顔が離れない。

あんな笑顔を私ははじめてみたかもしれない。

そう思うと不安になった。

いつもより、帰り道が長く感じた。