「みやのさん、来月の日曜、空いてる?」

「予定はないけど。どうして?」

「その日、他の学校と練習試合があるの。みやのさんに見に来てほしくて」

その日のために、嫌いな練習をがんばってみよう。

大事なことを気づかせてくれたみやのさんのために、走ろう。

もしまたビリでも、きっと笑顔で言える。

みやのさんのために走れたんだよ、って。

「うん。見に行くね。さわださんにしか見れない景色が、見れると思うよ」

みやのさんはそう言うと、ポーチの中からキャンディを出した。

「おまじない」

あげる、と言ってわたしにくれたのは、ピンク色のキャンディ。

「あたしは、これ」

みやのさんはブルーのキャンディ。

「ソーダ味。さわださんの試合の日に食べよっと」

わたしのはピーチ味かな。

試合の日のお守り。







おわり