明日から雑用だ。 そう思うと少し体が怠い。

「あぁ……怠い。 辛い」

「怠いのは私の方だよ! もう……道連れにされるなんて思ってなかった」

アイスを食べながらそう呟く遥。 ごめんね、なんて謝っても怒っている。 そんな彼女は可愛いから笑ってしまう。

「何笑ってるの。 ……でも彩羽、ナイスかも」

「え?」

その後は何か言っていたが聞こえなかった。 だけど、頬が赤かったような気がした。

「ハル?」

「……何でもないっ。 彩羽ぁもう1個奢って! 翔太にあげたいから」

「えー、翔太に? いいよアイツは〜」

翔太とは、春川 翔太(はるかわ しょうた)の事。 最近生意気になってきた私の弟だ。 顔は可愛いけれど生意気。
でも遥にとっては可愛いらしく、よく一緒に遊んでいる。

「でも彩羽は何だかんだ言いながら翔太の事大切にしてるよね」

「……そうかな」

自分ではそうは思わないのだけれど。
周りから見たらそうなのかもしれない。 遥が言うのだからそうだろう。

「遥はさぁ」

「んー? ちょっとアイス食べちゃうから待って!」

遥の手には溶けて今にも落ちそうなアイス。
彼女が急いでアイスを食べているのをぼーっと見つめる。

私はアイスは買ってない。 買おうとしたけれど、遥に怒られてしまった。

「で、さっき言おうとしたのは何?」

「遥はさぁ、好きな人とか居ないの?」

「えっ!?」

目を丸くする彼女は初々しい。 頬が心無しか赤い気がする。
挙動不審な遥は、ごめん……よく聞こえなかった、もう1回言って……、と小さく呟いた。

「好きな人とか! 居ないの!!」

「っすす、好きな人!?」