「せーんぱいっ」
私、春川 彩羽(はるかわ いろは)は毎日昼休みと放課後に屋上へ行く。 そうすると彼は必ずいる。 本を寝転びながら読む彼は雪村 愛理(ゆきむら あいり)先輩。
「また……来たの」
「はい、屋上好きですし!」
先輩にも会えますし、なんて呟く。 先輩は本を読みながらあっそ、と言った。 少し笑ってしまった。
何だかんだ言いながら先輩は私の言葉に耳を傾けているのだ。 笑いを抑えていると、変な目で見られた。
「せっ先輩、今日は何を読んでるんですか? 推理小説ですか?」
「そ。 展開が分からないから……面白い」
本の事になると先輩は何だか嬉しそうになる。 普段は無表情でクールという感じだけれど、本の事を話す時は少しだけ笑う。
それがあまりにもカッコよくて、少しだけ胸がキュッとなった。
私は愛理先輩が好きだ。 先輩は気付いていないだろうけれど、先輩に会うために屋上に来ている。
熱が上がるがそれに気付かれないように話しかける。
「へぇ。 どんな感じなんですか?」
「それは────」
バタンッ
「すいませーん、彩羽居ますか? あ、居た!」
「……え、ハル? どうしたの?」
ドアが開かれたと同時に、ある女の子の声が響いた。
先輩が話そうとした時、ちょうど遮った女の子。 それは私の親友である七瀬 遥(ななせ はるか)だった。 彼女とは幼稚園からの付き合い。 ずっと隣にいた存在だった。
彼女曰く少しだけ癖っ毛なのがコンプレックスだ。 私にとっては弄るネタになるのでそんなに気にしないのだけど。
「青木センセーがカンカンだよー? 宿題のプリント出さなかったでしょ!」
青木先生とは数学の先生だ。 頭がちょっと薄い。 なのであだ名が“太陽”。 弄りがいのある先生だけど、怒ると凄く煩い。 数学の先生じゃなくて体育の先生か、と思う程だった。
嫌がらせかと思う程宿題を出してくる。 そしてテストなどの成績が悪いと不機嫌になり、病院にお世話になるそうだ。
「あ……、忘れてた。 でもハルが今朝プリント見せてくれなかったじゃん……!」
「私のせいにしない。 それに私もやってなかったし?」
バサッと斬り捨てられた……。
肩を落とす私に彼女は呑気に笑った。 睨みつけるも明後日の方向を向いている。
遥は適当なのがたまに傷。 ちょっと所か凄く気分屋な彼女。 でもそんな所が多分好かれているんだろう。 憎めない親友だ。
後ろからパサっと音がした。 後ろを見ると、先輩が体を起こしていた。
「……青木は怒ると煩いから嫌いだ」
「え? 愛理先輩も怒られたことあるんですか? 真面目そうなのに……」
「別に真面目じゃない。 俺だって怒られたことくらいある……、青木の授業なら特に」
「先輩が怒られるなんてなんか意外です……」
遥が呟いた言葉に私も頷いた。
その数秒後に青木先生の放送が流れた。 勿論私の名前が呼ばれて、先輩と遥は笑っていた。
そんな2人を横目に、青木先生の元へ向かった。
私、春川 彩羽(はるかわ いろは)は毎日昼休みと放課後に屋上へ行く。 そうすると彼は必ずいる。 本を寝転びながら読む彼は雪村 愛理(ゆきむら あいり)先輩。
「また……来たの」
「はい、屋上好きですし!」
先輩にも会えますし、なんて呟く。 先輩は本を読みながらあっそ、と言った。 少し笑ってしまった。
何だかんだ言いながら先輩は私の言葉に耳を傾けているのだ。 笑いを抑えていると、変な目で見られた。
「せっ先輩、今日は何を読んでるんですか? 推理小説ですか?」
「そ。 展開が分からないから……面白い」
本の事になると先輩は何だか嬉しそうになる。 普段は無表情でクールという感じだけれど、本の事を話す時は少しだけ笑う。
それがあまりにもカッコよくて、少しだけ胸がキュッとなった。
私は愛理先輩が好きだ。 先輩は気付いていないだろうけれど、先輩に会うために屋上に来ている。
熱が上がるがそれに気付かれないように話しかける。
「へぇ。 どんな感じなんですか?」
「それは────」
バタンッ
「すいませーん、彩羽居ますか? あ、居た!」
「……え、ハル? どうしたの?」
ドアが開かれたと同時に、ある女の子の声が響いた。
先輩が話そうとした時、ちょうど遮った女の子。 それは私の親友である七瀬 遥(ななせ はるか)だった。 彼女とは幼稚園からの付き合い。 ずっと隣にいた存在だった。
彼女曰く少しだけ癖っ毛なのがコンプレックスだ。 私にとっては弄るネタになるのでそんなに気にしないのだけど。
「青木センセーがカンカンだよー? 宿題のプリント出さなかったでしょ!」
青木先生とは数学の先生だ。 頭がちょっと薄い。 なのであだ名が“太陽”。 弄りがいのある先生だけど、怒ると凄く煩い。 数学の先生じゃなくて体育の先生か、と思う程だった。
嫌がらせかと思う程宿題を出してくる。 そしてテストなどの成績が悪いと不機嫌になり、病院にお世話になるそうだ。
「あ……、忘れてた。 でもハルが今朝プリント見せてくれなかったじゃん……!」
「私のせいにしない。 それに私もやってなかったし?」
バサッと斬り捨てられた……。
肩を落とす私に彼女は呑気に笑った。 睨みつけるも明後日の方向を向いている。
遥は適当なのがたまに傷。 ちょっと所か凄く気分屋な彼女。 でもそんな所が多分好かれているんだろう。 憎めない親友だ。
後ろからパサっと音がした。 後ろを見ると、先輩が体を起こしていた。
「……青木は怒ると煩いから嫌いだ」
「え? 愛理先輩も怒られたことあるんですか? 真面目そうなのに……」
「別に真面目じゃない。 俺だって怒られたことくらいある……、青木の授業なら特に」
「先輩が怒られるなんてなんか意外です……」
遥が呟いた言葉に私も頷いた。
その数秒後に青木先生の放送が流れた。 勿論私の名前が呼ばれて、先輩と遥は笑っていた。
そんな2人を横目に、青木先生の元へ向かった。
