幸せに、なるはずだったの。

優しい人の側にいて、恋に落ちて、結ばれて

温かな家族になるはずだったの。

願わくは、ちゃんとあの人と私の間の子を産みたかったわ。

あの人に似て優しい男の子と、私みたいに寂しがりやな女の子がね。

でも、人生なんて幸せばかりじゃないの。

必ず不幸があって、抜け出せないほど深い闇に落ちてしまうの。

今までは必ず助けを求められる人がいた。

手を差しのべて、届く距離にいたの。

でも、今はもういない。

私は助けを乞うことが出来なくなった。

この深い闇から抜ける方法を、見失ってしまった。

分かってる。全て私のせいなの。

あの人の為を思ってやってしまったことは間違ってた。

信じて止まなかった。

あの人と必ず幸せな結末を迎えると。

だけど失ったものは多い。

あれだけ愛した人は目の前から去った。

幸せはこぼれ落ち、砕けて潰れてしまった。

残されたのは、このお腹に宿った二つの命だけ。

結局は皆に望まれなかった、他人の子供たち。

ひたすら彼らが消えてしまうことを祈っていた。

きっとなくなってしまえば、元通りになるって勘違いしていたのね。

そんなとき、その勘違いを正すように、

この子達はお腹の中で私にすがり付いたの。

叫んで拒絶して。

私にははっきりと聞こえた。

それがあまりにも悲しくて、余計に消すのが怖くなったの。

私はこの子達を殺めることができない。

生むことも怖くて仕方がない。

悩んでいるうちに時は経っていて、引き返すことができなくなった。

二人とも、ごめんね。

こんな馬鹿な母親で。

ごめんね、本当にごめんね。


あなたたちは私を選んでくれたのに、私はそれを拒絶することしか出来ない。