教会から連れ出された時、とても眩しい光が差した。
赤い景色が溶けるように消えていった。
何だかとても温かい。
まるで本物の太陽に当たっているようだ。

しかし完全に白に包まれた頃には、彼の手は私の手を離していた。

「アドラー?ねぇアドラー?!」

彼を呼んだ。
でも答えはない。
代わりに聞こえて来たのは、甲高い産声。

どうして泣いているの?
誰が泣いているの?

でもその声が自分のものであることを知るのは間もなかった。
目が見えない。
まぶたが重い。

「元気な女の子です。」

誰かを祝福するような大人の声がする。

私はかろうじて目を開けて、外の景色を見ようとした。

すると女神像によく似た女性が涙を浮かべながら私を見つめていた。
しっかりと、抱きかかえている。
口をわなわなと震わせながら、しゃくりあげる。

「この子たちが、この子たちが私の……」

彼女の声は掠れながらも、しっかりとこちらに届いた。

「おめでとう、
生まれてきてくれて、ありがとう。
あなたたちをずっと守って見せるわ。これからも、ずっと……」

隣を見ると、アドラーと思わしき小麦色の肌の赤ちゃんが眠っていた。
私は必死になって、その子に手を伸ばす。
アドラー、外の景色だよ。
早く起きて、とても幸せな場所だよ。

「…せんせ……この子……」

途端に、私たちを抱きかかえた女性が大きく目を見開いた。
視線の先はアドラーに。
安らかに眠っている赤ちゃんに。

「急ぎ、心臓マッサージ!緊急処置を‼」

医者と思わしき人が女性からアドラーを取り上げる。
私は今だ続く産声をあげながら、彼を呼んだ。

行かないでよ

側にいてよ

ねぇ、アドラー____………




数時間後眠りから覚めたら、女神像に似た



女性は私を抱き締めて、むせび泣いていた。