その時私は、磐城君に白い影が纏わり付いているのを見た。
みずほの霊が磐城君を助けたのだと感じた。


(やはりみずほは磐城君が大好きだったんだね)
私は何故だかホンワカしていた。


キューピット様は四人以上で遣ってはいけない。
真しやかに語られている事実だ。


町田百合子と福田千穂。それだけじゃない。
あの日屋上にいた女生徒達はそれ以上いたのだ。
確か全員が参加者だったと磐城君は言っていた。


だからキューピット様が怒ったのかも知れない。


私の手鏡から飛び出した黒い影は、みずほのコンパクトに寄生した黒い影と一つになって千穂を堕としたんだ。
私はそう思った。
磐城君を手に入れるために百合子の始めたキューピット様に乗ったのだから……




 私は担任と一緒に家に帰って来た。


『有美ちゃんその話誰にも言っちゃだめよ』
私が事件の報告をした時、継母は言っていた。
でも私は父親殺しを担任に打ち明けていた。


事件の一部始終を聞いた担任は、私の軽はずみの行為が三連続死を招いたと叱った。


私の父から始まった三連続死。
のはずだったのに、何故かクラスメートが三人が死んでいった。
そんなことに疑問を持ちながらも、事件が解決したことに安堵していた。




 担任はその場で婚姻届けに名前を書いた。
それは継母が籍にも入ってなかったと解って用意していた物だった。
それほど愛していたのだ。




 結婚式は私の誕生日になった。
私もその日エースと結ばれる。
つまり合同挙式になる訳だ。


まだ高校一年生の私を若過ぎると彼の両親言った。
でも私の家を見た時、態度は変わった。
私はお嬢様だったのだ。


彼がサッカーを極めたのは、両親に楽をさせるためだったのだ。
でも決して財産目当てではない。
私の方から惚れたのだから……




 私は日本中で一番若い花嫁になる。
そのことを磐城君にも知らせたくて、木暮君に又電話した。


私は彼と二人でアパートで暮らすことになった。
財産を取られるのがイヤで継母を籍にも入れなかった親戚。
そんな連中から逃げ出したかったのだ。


彼のことを何も知らないくせに、継母同様イチャモン付けられたらたまったもんじゃない。
私は強かに彼と生きる道を選んだ。


私は自宅を慰謝料として継母に渡すことを親戚に申し出た。
父が奪った物がそんな程度で許されるはずはないのだけれど……