好きだった人は見ていなかった。見ていたのはもっと先、はるか先だった。僕は眼中に入ってなかった。僕は自宅でいつものようにパソコンを開き、ネットサーフィンをし、思考を研磨し、自分のやるべき勉学に勤しんだ。学ぶことは好きだった。何もかもを忘れることができ、没頭することにより、時間を凌駕することができた。無味に毎日を惰性的に過ごすより、なにかしら一つをやり遂げることに念頭を置いた。先は長く、果てしない旅のようだが、人生とはつまりは道中を楽しむもの、その過程を楽しむものなのではないか、と漠然と僕は思っていた。
 思考を妨げるものは常に女性だった。