「何かを得るには何かを犠牲にしなければいけないの」
 僕は、最低、の、二文字を突きつけられたシルエット女性に言葉を投げかけられた。僕は彼女を知っているような気もするが、顔がモザイクがかっているため、表情がはっきりしない。
「僕は君の顔が見たいんだ」
「でしょうね。でも、心が曇っている人には真実は見えないものよ」
「君のいう等価交換の話だろうか?」
 僕は訊いた。が、僕の質問に対して彼女は何も答えなかった。むしろ、答える気すらなかったのかもしれない。