「中村、暴走するなよ。機関車も、適切な石炭量であれば暴走しない」
「し、失礼な事をいうなよアオイ。鈴木さんの目の前で。とても綺麗です」
「ありがとう、中村」
「にしてもすごいメンツだ」
 アオイはシャンペンを飲んでいる一団に目を向けた。
「あの人達は、海外のお偉いさんね」
「お偉いさんがこちらを見て、会釈してるぞ」
 中村は興奮しながらいった。石炭が追加されたらしい。
「こっちを見てるというより鈴木を見てるんだろうな」
 そう言いながらもアオイはグラスを掲げ挨拶をした。
「さすが鈴木さん。有名人」
「パパのお陰ね」 鈴木は細い腕に似合うブランド物の小さな腕時計を眺め、「もうそろそろ時間よ」とあそこに座りましょう。