男は絵画から飛びでたのではないかと思うぐらい端正な顔立ちだった。でも、どこか陰のある雰囲気を醸し出していた。
「私もあなたをよく知っている。私はあなたに罪の意識を抱いていると思うの」
「この空間ではそれは関係ないと思うんだ。僕はここしか居場所がない。でも、君はここに来ることもできるし、ここではない場所にもいける。多分、その差こそが、僕と君の接点だった、んだと思う。ごめん。うまく説明できなくて」
「いいのよ。なぜだろう。私はあなたを見ると涙が止まらない」
 私の目から涙が溢れていた。床に大粒の涙の跡が滲んだ。