僕は部屋の中を覗いた。
 誰もいなかった。
 部屋にはドラムとベッドがあった。デスクがあり、ペンが散乱し、パソコンのブルーライトが明滅していた。デスクの前には椅子があったので、僕はそこに腰を下ろした。誰か来るかもしれないと思い、僕は椅子の背に手を掛け、扉の方を向いた。ただ、ただ、ずっとそこで誰かが来るのを待っていた。どれぐらいの時間が経ったかわからない。お腹は減らないし、喉も渇かなかった。眠くもないし、体臭に変化はなかった。でも、ここからは動いてはいけない気がした。
 だから、僕は動かなかった。
 動かない光明は細い指が扉に立て掛けられたことで、僕は唾を飲み込んだ。