カナエと記憶のない女は写真の男が住んでいるマンションにいた。管理人に事情を説明し、鍵を開けてもらった。
「用が住んだら、鍵は返してね」
 と丁重に言われた。
 カナエと記憶のない女は男の部屋に入った。整然としていて几帳面な性格がうかがえた。二つの部屋があり、一つの部屋にはドラムが置いてあった。もう一つの部屋に入った。男が寝そべっていた。横顔の表情が見えない。首になにかの跡が付いている。二人は恐る恐るベッドに近づき。男の表情を見た。目が見開き、瞬きをしていなかった。顔は青白く、表情はなかった。二人は叫び、抱き合った。