カナエは紙とボールペンをテーブルに置き、女にアルファベットを書いてと促した。女は、なぜ、という表情をしたが、渋々承諾し、アルファベットを書かした。
 間違いない。
 写真の裏に記載されている『A』という文字は、女が書いたのだ。となると、次に重要なのは、この男が誰か、ということになる。女は怪しい取引にでも巻き込まれているのだろうか。多額の金銭がそれを物語っているような気がしないでもない。