「逆に保身に走る人の方が多いと思うわ」
「人間というのは自分が可愛いですから」
「当然よね。自分が生きてるんだもん」
「たとえば、複数の家族が集まって、それぞれの家族に子供がいたとします。仲睦まじい会話を広げていたとします。『〇〇さんのお子さん本当に可愛い』『〇〇さんの方こそ優秀な子じゃない』と当たり障りのない会話に注視します。しかし」
 私は右手で制した。話の顛末がわかった気がしたからだ。「自分の子のが優れて可愛い」
「ええ、その通りです。出来、不出来は関係ありません。自分の分身は可愛いのです。それが醜くても不出来でも」
「あなた大学の教壇に立ったら」
「遠慮しときます」