直線的な道もいばらの道もいずれは終わるが、道はずっと続いているものと私は思っていた。
 老紳士が運転する車はブレーキをブレーキと感じさせる事なく止まった。私はどうやら眠っていたようだ。眠い目をこすり、瞬きを数回したときに、車のドアが開いた。
 外は暗かった。
一陣の風が吹いた。
 私の髪をさらった。少し汗臭く、疲労は蓄積されているようだが、頭はスッキリとしていた。
「ここは」
 私は目の前の要塞めいた館を見ながらいった。
 相変わらずの場に不釣り合いな、ハハハ、と笑い老紳士は、「『イシノヤカタ』ですとも。あなたはこの館に入って見つめなければなりません。見つめた先で戻るもよし、滞在するもよし」といった。