「ドラムが演奏できることは誰にも言ってないけどね」
「友達が非常に少ないから」
「それもある、母親のなんだ」
「でも、アオイって一人暮らしでしょ」
 バツの悪そうにアオイは頷き、「両親はこの世にいない。死んだんだ」といった。
 井上ユミは言葉を失っているようだ。ドラムロールの出だしのように低い音で、「ごめん」といった。
 井上ユミが悪いのではなく、アオイの声のトーンがいけなかったのではないかと反省した。
 両親がいないからといってこの歳で寂しさはない。うまく人に溶け込めない要因のような気がしないでもない。自分のことが自分で一番わからない。