「嘘ね」
「砂漠で遭難した旅人の気分だね」
「不安?」
「まあ、そうともいう」
「ラクダがいればいいわね」
「それはいい。キリンでじゃなくてよかった」
「ねえ。なんでキリンが出てくるの?」
 本当に不思議そうな声をシルエット女性は響かせルームナンバーをなぞった。それが何かのおまじないのように人差し指でマーカーを引くみたいに。しかし、僕の予想に反して何も起こらなかった。逆に、何かが起こっても困るが。