「『夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である』精神科医であるフロイトの言葉だ。まさに、君の現在の状況に当てはまるぞ、小沢アオイ君」
 突然睡魔が襲ってくることが多々あり、だからこそ目を閉じていたのだが、先ほどふと瞬間に目覚めたアオイにとって見開いた眼前にすぐさま飛び込んできたのが、白いチョークだ、と思った時には額にクリーンヒットした。
「教授、僕は寝ていません。起きていました」
 周囲から失笑が漏れた。
 アオイは額をさすり、額に当たり折れたチョークの残骸を拾った。チョークの構成物質は炭酸カルシウム。炭酸カルシウムは貝殻や卵の殻の主成分。理解、分解、再構築の果てがチョークか、とアオイは佐藤教授がいる教壇に向かった。