「え?え?なんでこんなに混んでるの!?電車って息出来ないところだっけ!?」

鞠奈姉がたくさんの人の中に揉まれながら言う。

う…ん。確かに慣れない満員電車はきつい…

密着度半端ないし。

うわ。隣のおじさんの臭い、うちの父さんの加齢臭よりやばいし。吐き気する…


あ、やば、ぐらぐらする…

後ろに倒れ込みそうになった僕の手首を誰かが掴む。

「風羽?」

あ、鞠奈姉だ…

ふっと力が抜ける。

「え、ちょ、風羽!?」

姉の声が段々と小さくなって。

やがて消えていった…