学校の後は、いつも戦争だ。



「はっはっっ…」




私は今走っている。

学校から走って15分程の場所にスーパーマーケットがある。




毎日4時半からタイムセールを行っている。

タイムセールの物も、毎日変わる。



今日は卵のタイムセール。


お金のない貧乏な山本家には、かけがえのない30分だ。



今日のその卵が買えないと、明日から次の卵セールまで、山本家ではタンパク質が食べれない。



冬真っ只中、制服のまま走り、汗を流しているのは私だけだろう。




育ち盛りの弟たちと兄にはたくさん栄養を取ってもらわないといけないし、できるだけお金を節約したい。



友達と放課後遊ぶことなんてしたことない。





興味はある。



今日も海斗の誘ってくれたカラオケ行きたかった。



けど行っても、最近の歌とかわかんないし、そんな歌えないから断ってよかったんだ。



みんなには帰れば暖かいご飯が用意されてるけど、私には用意されてない。


学校から帰ってくる弟たちと兄に、その暖かさを与えるのが私の仕事。


両親が死んだ直後はコンビニでの冷たいコンビニ弁当が続いた。


その度に、ご飯がしょっぱく思えた。

きっと他の兄弟たちも同じ思いだった。


それが嫌で、私はその次の夜、ご飯を作った。

ご飯はベチョベチョ。

お肉は焦げて、野菜なんて紛失していた。



なのに、三人の兄弟はそれを「まずい、まずい」と言いながら笑って食べてくれた。


私はそれが嬉しくて、その晩からご飯を作るようにした。



兄弟たちがまずいと言いながらも笑ってくれる。



家族に笑顔が戻った。


その笑顔を守るために、今日も私はご飯を作る。