「わーすごい!」

「ここ、花畑もあるんだね。ね、ここ気に入ったよ、俺。どうかな?俺の奥様はこんなにのんんびりとしてきれいな場所で育ったんですよって、よくわかってもらえると思うんだけど」

「…そんな…」


でもたしかに、本当に素敵な場所だ。

赤、ピンク、黄色、オレンジ…色とりどりの春の花が蕾を付け始めている。
きっと挙式の頃は、満開に咲いて祝福してくれるだろう。


「いや、もう俺は絶対ここがいい。だって、雪を見に来てまさか式場を見つけるとは…運命だと思わない?」

「そうですかぁ?」

「そうだよ」


微笑みを浮かべて深くうなづく裕彰さん。


…そうですね。

運命のような出会いを果たしたわたしたちには、もってこいの場所かもしれないですね。



「する?ここで結婚式」

「…はい」



あたたかな風が吹いて、甘い香りがわたしたちを包んだ。


「亜海」

「はい?」


振り向いた瞬間、キスを落とされた。

花の香りに負けない、あまい口づけを。



「…愛してるよ」

「…もうリハーサルですか?」

「そゆこと。もうちょっと見てみようか」



おいで。



と差し出された手に、わたしはそっと手を重ねた。


その瞬間、左指がまばゆく光った。
それは彼が与えてくれた永遠の愛の証だった。



決して消えない雪の結晶は、春の温かい光を浴びて、いつまでもやさしく輝いていた。















<Fin>