「子供の頃は別だけれど、今はもう父を恨んではいない。大学まで行かせてもらって不自由のない生活をさせてもらったし、愛情が皆無というわけではなかったんだろ。それだけわかれば十分だ。今更うんぬん言う歳でもないし、働いてみてあの時の父の状況をおもんばかれるようになったし」
そう他人事みたいに話す課長だけれど…
本音ではない気がした。
軽い口調も表情も、無理矢理作ったようにしか見えなかったから。
歳なんて関係ない。大人になったって社会人になったって、家族への想いは薄れるものじゃない、いやむしろ強くなるんじゃないかと思う。
家族と遠く離れて暮らして仕事やストレスに追い立てられる毎日の中で、家族のことを思い出す機会はすくない。
だからわたしは料理をする。
家庭の味は家族との思い出だから。
懐かしい味があるということは、懐かしい場所があるということ。
遠く離れていても寂しいと思っても慣れ親しんだ味がその場所を思いださせてくれる。
安らぎを与えてくれる。
独りじゃないって確認できるから。
でも課長はずっとその味を知らなかった。
そして、ずっとこの部屋にひとり。広くてモデルルームみたいに素敵だけれど寂しい部屋にひとり…。
そう他人事みたいに話す課長だけれど…
本音ではない気がした。
軽い口調も表情も、無理矢理作ったようにしか見えなかったから。
歳なんて関係ない。大人になったって社会人になったって、家族への想いは薄れるものじゃない、いやむしろ強くなるんじゃないかと思う。
家族と遠く離れて暮らして仕事やストレスに追い立てられる毎日の中で、家族のことを思い出す機会はすくない。
だからわたしは料理をする。
家庭の味は家族との思い出だから。
懐かしい味があるということは、懐かしい場所があるということ。
遠く離れていても寂しいと思っても慣れ親しんだ味がその場所を思いださせてくれる。
安らぎを与えてくれる。
独りじゃないって確認できるから。
でも課長はずっとその味を知らなかった。
そして、ずっとこの部屋にひとり。広くてモデルルームみたいに素敵だけれど寂しい部屋にひとり…。



